一昨日の日経新聞にとても興味深い記事が掲載されていました。住民合意の比率や容積率の緩和、引っ越し代などの助成措置の導入など、マンション一棟丸ごと売却したり解体したりしやすくするための法整備に向けた動きがスタートしたようです。やっと政府も動き始めてくれたか・・・というのが私の本音です。
中古マンション、特に昭和40年代から50年代に建築されたマンションをご所有のお客様や、購入を検討されているお客様からよく「あと何年このマンションは住めるんですか?将来建て替えはできるんですか?」というご質問をいただきます。私の率直な考えは現行の法律の中では、建蔽率・容積率にかなりの余裕のあるマンション=公社や公団が分譲した5階建の棟が複数建っているマンション以外は、建替えは限りなく不可能に近いと思っております。お客様にも「今の関連する法律を変えたり、要件を緩和しない限り建て替えは非現実的です」とお答えしています。
建替えとなれば、各所有者に経済的な負担が生じます。その経済的な負担が大きくなればなるほど区分所有者の合意の形成が困難になりますし、仮にほとんどの区分所有者が合意しても少数の方が反対し裁判にでもなれば、最高裁判決が出るまでは建替えはストップせざるを得ないのが現状です。
今後建替えをしたくてもできない老朽マンションが毎年増えていくのは確実です。建替えもできずそのまま放置され、次第にスラム化していくマンションが出てきてくるという、近い将来に起こり得る社会問題に対応すべく、建替えはできなくてもマンション丸ごと売却できたり更地にして土地を売却できるように、政府もやっと法整備に向けて動き始めたんだなぁと感じています。
実際には紆余曲折はあるでしょうが、新聞掲載により世間にアナウンスすることで、法整備に向けての第一歩がいよいよ踏み出されたのだと思っています。
平田