建替え要件緩和に向けて

こんばんは、平田です。

もう30年以上も前になりますが、学生時代に宅地建物取引主任者(現宅地建物取引士)の資格取得の勉強をしていた時に、区分所有法ではマンションの建替えは所有者の5分の4の賛成で可能であるとありました。

5分の4、つまり20%の反対が有っても建替えは可能なんだと思った記憶がありますが、現実はそう簡単にはいかないことを、不動産の仕事に携わってすぐに実感しました。

80%の建替え賛成の合意形成がなされても、実際には強硬に反対する所有者が建替え反対の訴訟を提起すれば、判決が確定するまでは建替えは進みませんし、所在が不明な所有者は反対票にカウントされるため、ギリギリのラインで80%の賛成が得られず建替えが進まなかったり、更に建替えに伴う所有者の費用負担や、建替え期間中の仮住まいの費用負担など、クリアすべき問題が現実的には多く、建替えが成功した事例は限られています。

そんな中、昨日の法制審議会でマンションの建て替え決議の要件を、「所在不明者を除く4分の3の賛成」に緩和する区分所有法の改正素案を示したとの新聞記事が目に入りました。

マンションの老朽化は大阪や東京などの都市部に限らず、今後日本全国で確実に進行するのは確実で、国策として建て替えを促進する法整備は避けては通れないことは明らかです。

ただ、所有者の賛成の割合の緩和だけでは、区分所有者の費用負担の問題が重くのしかかり、建て替えが進まないマンションがほとんどだと予想されます。

記事でも触れられていましたが区分所有者の費用負担を軽減するために、マンションの規模を大きくして戸数を増やし、増やした部屋を分譲して建て替えの費用に充当することができるように、容積率を緩和することが必要となりそうです。

仮に容積率を緩和すれば、建て替え後は高層化するため、近隣住民の理解も必要となりますので、そうそう簡単なことではないとは思います。

それでも今よりも建て替えが成功するマンションは少しでも増えるのではないでしょうか。

 

 

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